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現場リポート:2025年6月1日
6/1に行われた診療実践コース「EBM」は、総合診療医の南郷栄秀先生を筆頭講師として15名のファシリテーターと共に当日の運営が行われました。
本講座は、非同期型のオンライン事前学習と、同期型のオンラインレクチャー・グループワークを組み合わせて行われました。非同期型のオンライン事前学習では、エビデンスに基づきポリファーマシーをどのように解消していくのかをテーマに、ポリファーマシーに関するエビデンス、減薬(De-prescribing)のステップとその実践に関する内容を学ぶことが出来ました。
講座開催当日には同期型のオンラインレクチャー・グループワークが行われました。導入では、事前学習の内容をふまえ、臨床事例に基づいた処方整理に関するグループワークで議論を行いました。経験豊富なファシリテーターのもとで、参加者間で自身の臨床経験に基づく活発な議論が行われていたのが印象的でした。また、15剤の処方が行われている高齢女性の事例をグループ内で検討した結果、半数以上の参加者が5~6剤まで処方を減量できると回答していました。非同期での事前学習に加え、同期型でのグループワークにより、実際の臨床場面でどのようにポリファーマシーの問題を解決していくのかについて効果的に学ぶことができました。
続いて行われた、「論文を読まずにEBMを実践しよう」のセッションでは、まずPICOを用いて心不全の事例に関する疑問を定式化するグループワークが行われました。講師からPICOを記載する際には患者情報を出来るだけ具体化する意義などのフィードバックを受けました。次に国内の診療ガイドラインが作成された背景とその利用方法に関する解説が行われました。普段気軽に利用している診療ガイドラインにこのような意図があったのか…と実感出来る、目から鱗が落ちる内容でした。その後は、二次資料の解説および検索方法のデモンストレーションに続き、心不全診療ガイドラインの記載内容を読み解く二次資料を用いたグループワークが行われました。模擬ケースに対してSGLT2阻害薬を用いるべきかどうか、ファシリテーターのガイドをもとに、各参加者が二次資料を検索し、資料ごとに少しずつ異なる記載内容の違いをどのように解釈するかについて議論が行われました。最後のセッションでは、実際の事例にエビデンスが適応可能かを患者さんの背景情報を考えながら議論しました。
非同期学習および同期学習の4時間全体を通じ、WS当日の参加者の皆様の学習意欲はとても高く、グループディスカッションでの議論に加え、チャットによる質疑が活発に行われました。ポリファーマシーへの対応、臨床現場でのEBMの実践など、明日からの臨床に役立つプラクティカルな議論が行われ、質疑を通じて参加者全体の理解が深まりました。
【開催日】
2025年6月1日(日)
【テーマ】
診療実践コース:EBM
【講師】
南郷 栄秀(聖母病院 総合診療科)
【研修目標】
・原著論文や診療ガイドラインを鵜呑みにせず批判的に読み、患者の診療に役立てることができる
・エビデンスに基づいた適切な治療を考え、処方薬の整理ができる
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