​現場リポート:2019年8月11日

まず午前は松木先生の泌尿器からスタートします。

今回は座ってのレクチャー形式です。

突然ですが、排尿障害治療薬の効果に不満を感じたことはありませんか?

多くの医師が治療効果に限界を覚えているそうです。

でも、それは排尿障害の治療に対する誤解のせいなのかも?!

まずは治療目標に対する勘違い。

排尿障害治療薬のゴールは100%の症状消失ではありません。

どれくらいよくなったか、どれくらいQOLが改善したかで判断するべき、なのです。

そして、治療効果の評価が早すぎて、正しく判断できていないことが少なくないそうです。

排尿障害治療薬はすぐには効かないので、数週間~数ヵ月は据え置くことが大切です。

さて、各論の時間です。

まず、頻尿は問診と簡単な身体所見で診断できる、とのお話があります。

松木先生のクリニックの看護師さんは予診だけでだいたい診断をつけてしまうそうです!

そして、頻尿の診療について、各疾患ごとに、注目すべきポイントやコツを教えていただきます。

患者さんへの説明方法や腹部超音波検査の所見など、有用な情報が満載です。

​「こんなときどうする?」というケーススタディもあり、理解が深まります。

きちんと定義化されていないものの、松木先生が「メチャクチャ大事」と強調する慢性前立腺炎に関しても、詳しく学んでいきます。

男性の排尿障害では、慢性前立腺炎の可能性を考える思考をもっておくだけで、診療スキルが飛躍的に向上するそうです。

​また、夜間頻尿は頻尿とは別の疾患と考える必要があるとのことです。

夜間頻尿では、夜間尿量増加などの尿量の問題、睡眠障害についても、しっかり評価しないといけません。

次に、尿失禁の解説に移ります。

​これも問診が命で、聞くべきことと対応する疾患・治療について端的におまとめいただきます。​​

 

今度は、泌尿器科感染症のお話です。​

排尿関連痛出現のタイミングや発熱などの「症状から診断できると言い切って! しまおう!!!」という力強いおことばが……勉強になります。

単純性/複雑性の区別、専門医に紹介すべきケース、性行為感染症の所見など、日常診療に直結する情報を厳選してご教示いただきます。

続いて、泌尿器科悪性腫瘍。

肉眼的血尿、検査、診断、対応など、プライマリ・ケアで必要な知識を身につけることができます。

最後に、​尿路結石症、メンズヘルス(勃起障害・男性更年期障害)までフォローしていただき、午前の部は終了です。

お昼休みを挟んで、午後の部、須藤先生の腎臓の講義がはじまります。

​こちらは6人1組のグループワーク形式です。

まずは「蛋白尿などの健診異常への対応」です。

尿検査結果の数値から、ただちに専門医に送るべき症例を選ぶクイズからスタート!

それを皮切りに尿一般検査、尿沈渣、尿電解質所見について、詳しくご解説いただきます。

正常「範囲」はあるが、正常「値」はないという目からウロコのお話も!

尿沈渣の赤血球円柱・白血球円柱の説明では、須藤先生の奥さまが苦心して制作されたみかん入りゼリーともも入りゼリーのお写真も登場します。

気になる内容は、ぜひ当プログラムににご参加いただいてご確認ください!

続いて、「腎疾患患者への投薬と注意点」のお話です。

症例提示があり、腎機能障害がなぜ起こったかを考えていきます。

薬剤が原因で腎機能が低下することもあり、そのような腎毒性薬剤のなかにはNSAIDsや造影剤、ACE阻害薬やARBなども含まれるので、注意しなければなりません。

腎障害患者への薬物投与について、投与量や注意すべきポイントを教えていただきます。

正常血清Cr=正常腎機能ではない、高齢者はそれだけで「腎機能低下状態」といえるなど、重要事項を学びます。

こんな患者さんにはこの薬は危ない、ということを覚えておけば、安全に薬を使えるようになります。

腎疾患患者への積極的適応となる薬剤として、利尿薬の種類や作用部位、使い方をおまとめいただきます。

CKD患者の血圧管理として使うべき薬剤など、日常診療で役立つ情報もご提供いただけます。

最後は、「CKD・糖尿病性腎症」についてです。

まずCKDについて、定義や頻度・重症度分類、他疾患との関連など、きっちり勉強していきます。

透析患者が400人に1人……超・満員電車なら乗客に1人は透析患者がいるという数の多さは驚きです。

透析導入患者の主要原疾患の推移や、須藤先生が「CKD・糖尿病性腎症」のうち最も重要なスライドとおっしゃる2型糖尿病性腎症の臨床経過について、わかりやすく、かつ詳しく説明していただきます。

​図として視覚的にお示しくださるので、理解が深まります。

あらたな概念であるDKDのお話もあります。

DKDとは、典型的な糖尿病性腎症に加え、顕性アルブミン尿を伴わないままGFRが低下する、非典型的な糖尿病関連腎疾患を含む概念です。

​そして、透析療法に関して、種類や原理、導入についても重要な情報をご解説いただきます。

​頸動脈の拍動は触れるが、頸静脈は触れないなど、知識が増えていきます。

​最後は、超高齢者に対する透析をどうするか、いろいろなケースを交えて検討していきます。

​ご高齢の患者さんには、あらかじめ今後の治療について家族で話しておいていただくよう、お伝えしておくことが重要です。

1回のスクーリングで泌尿器も腎臓も学べ、充実した1日になりました。

午前も午後もテンポのよいレクチャーで、もっと聞いていたい! と、3時間がとても短く感じます。

皆さまもぜひ、参加なさってみてくださいませ!

【開催日】
2019年8月11日

【テーマ・講師】
●午前

泌尿器

松木孝和 先生
(松木泌尿器科医院)

●午後

腎臓

須藤 博 先生
(大船中央病院)

 

【研修目標】

●泌尿器

・プライマリ・ケア外来で相談を受ける可能性のある症状(頻尿・夜間頻尿・尿失禁・血尿など)に何らかの対応ができるようにする

・一般的な、頻度の高い泌尿器科疾患を理解して対応できるようにする

・悪性腫瘍などの、頻度は少ないが見逃してはいけない泌尿器科疾患診療のコツを理解する

●腎臓

・健診で発見される血尿・蛋白尿などの尿異常の対応ができる
・慢性腎臓病(腎機能異常)の初期対応と専門医への適切な紹介ができる
・腎機能に配慮した薬の使い方ができる