top of page

​現場リポート:2023年12月3日

今回のレクチャーは松原知康先生による「必須小外科初期診療」についてでした。救急外来でよく出会う、外科系疾患の初期診療の仕方、適切なタイミングでの専門医への紹介について学びました。なかなか体系的に学ぶ機会が少なく、働いている環境によって専門科の先生に教えていただくことが難しい状況であったり、専門の先生に教えていただくまでの内容ではないかと思ったりしてなかなか積極的に教えていただく機会もなくなんとなく対応していた分野となっていました。プライマリケア医として必要な初期対応の知識を知りたいという気持ちに応えていただけた実践的な講習でした。

 

【眼科】
眼科の講義は、眼科表面異物、網膜中心動脈閉塞についてでした。初めに概要の講義をしていただき、グループに分かれ提示された症例の問診内容、その後の身体診察、処置、処方や専門家の先生に紹介すべき所見やタイミングを考えながらチームで診察を進めていくという内容でした。眼科表面異物は眼球表面のpHの確認をすることや、とにかく洗浄が大切ということを学びました。網膜中心動脈閉塞については目の心肺停止であり、「突然」「片目がほとんと見えなくなった」というキーワードで想起し速やかに眼球マッサージを行いながら眼科の先生にすぐに相談する必要があります。疑った疾患の重症度や緊急度によって専門家の先生に相談するタイミングを見極めるのはすごく難しいと感じておりましたが、今回の講座では実践しながらここがレッドフラッグというのがわかり今後救急外来で落ち着いて対応ができそうです。

【耳鼻科】
耳鼻科の講義は事前に郵送していただいた模型を使った実践的な講義でした。実際に鼻にガーゼを詰めたり、耳の異物をとったり、手を動かして進む講義でした。ファシリテーターの先生から手技のフィードバックをもらいながら講義を受けることができとても充実した時間になりました。鼻出血のガーゼパッキングではガーゼ奥に詰めすぎない、積み重ねるようにしっかり詰めていくということを学びました。外耳道異物では実際に異物を自分で詰めて取り出す実践しました。外耳道の開き方のポイントや攝子で除去できないものに対する対応について学ぶことができました。自信をもって次から診療できそうです。

【皮膚科】
皮膚科では熱傷、動物咬傷についてでした。熱傷の広さや部位、熱傷を与えた物質による専門家の先生への相談基準や、重症度に合わせた外用薬の使用方法、ドレッシング材の選択について学びました。動物咬傷に関しては深く、痛みを伴う傷に対する洗浄の仕方や創部の処置の仕方、感染症予防のための抗生剤処方の選択や破傷風の予防のためのワクチン接種の重要性について学びました。今後の診療では何となくではなく自信をもって外用薬処方や感染症予防をできそうです。

 

 

 

【整形外科】
整形外科では骨折、捻挫について学びました。骨折は骨折を疑ったときの診察の仕方やレントゲンの読み方を学びました。レントゲン読影のポイントは骨皮質の連続性や脱臼所見、骨端線の破綻や健側も撮像し比較することがコツとわかりました。捻挫は捻挫の診察方法やRICEの指導方法、シーネ固定の方法を学びました。捻挫特有の圧痛点や固定の時に圧迫してはいけない点や固定の時の関節の角度を学びました。固定の仕方も模型を使い解説していただき、具体的な包帯の巻き方の向きや包帯の動かし方も教えていただくことができ大変勉強になりました。

 

 

グループごとに分かれて行う実践方式の講義ですごく充実した1日でした。セクション毎にファシリテーターの先生からフィードバックを受けることができ、疑問に思ったことを質問できました。講義の最後に日常診療や講義の内容で疑問に思ったことを専門科の先生に設けていただき、そうか、そうやってすればいいんだ、明日から使ってみよう、明日から自信をもって診察できるようになると思いました。

 

【開催日】
2023年12月3日(日)

【テーマ】

診療実践コース:T&Aマイナーエマージェンシー

【講師】

松原 知康

【インストラクター】

海透 優太
奥村 能城
田中 惇也
小林 知貴
白神 真乃
木村 慶
岩本 修一
桑原 宏輔
阪本 宗大
佐伯 辰彦
竪 良太
伊藤 涼
福與 裕子
尾崎 真

 

【専門家】

眼  徳毛 花菜
耳 鼻 科:稲垣 計
皮 膚 科:登 有紀
整形外科:
海透 優太

​【研修目標】

・遭遇頻度の高い外科系救急疾患の緊急度を適切に把握し、専門科への相談の必要性やタイミングを判断できる
・簡単な処置ののち自宅での経過観察が可能な軽症外科系救急疾患のマネジメントを地域・組織の現状に合わせて行うことができる

bottom of page