現場リポート:2020年2月1日
今回は6人1組のグループ形式です。
新型コロナウイルスのご対応で超絶お忙しい忽那先生に、なんとか時間をつくっていただき、最新のトピックスを含めてご講演いただきます!
まず、「感染症診療のロジック」として、感染症に対する基本的な考え方を教えていただきます。
患者背景の理解、原因微生物、抗菌薬選択など、避けては通れないけど悩ましい感染症対応のいろはを、症例を交えてご説明くださり、自分のアタマで考えながら進んでいくので、参加型で楽しみながら学ぶことができます。
続いて、薬剤耐性菌時代の抗菌薬適正使用のお話です。
「ウイルス感染症に抗菌薬」など、世の中にあふれている不適切な抗菌薬使用。。。
不必要な使用が増えれば、薬剤耐性菌を生み出し続けていくことになってしまいます。
そうやって耐性菌は生まれ続けていく一方で、新しく開発される抗菌薬は年々減ってきているそうです……。このまま、使える抗菌薬がなくなったら、どんな未来が待っているのか……忽那家の皆さまが熱演するビデオで目の当たりにします。
そして、忽那先生演じる子どもの風邪で受診した抗菌薬を熱望するママに、どうやって抗菌薬を処方せずに帰ってもらうか、ロールプレイで体験します。忽那ママは非常に強敵でした……。
”風邪に抗菌薬”がどれほどまかり通っているか、それがどんなに無駄なことなのかをデータでお示しいただきつつ、DU(だいたいウンコ)処方はやめよう! と教えていただきます。
※DU処方:詳しくはスクーリングで!
さて、知識を身につけたうえで、もういちど忽那ママに挑みます!
学んだ知識を駆使して風邪に抗菌薬は不要と、あの手この手で説得していくので、知識の定着が進みますし、実際の診療にも役立つこと請け合いです。
さらに、安易に薬を出すのではなく、風邪の定義や時間軸(自然経過、受診すべき経過)などをきちんと患者さんに伝える説明処方のコツをレクチャーしていただきます。
次のテーマはグローバル時代の感染症です。
「旅行者・外国人居住者の増加による感染症の持ち込み」「マスギャザリングによる感染症のアウトブレイクの懸念」について、データを使って視覚的にもわかりやすくご解説いただきます。
2020年のオリンピック・パラリンピックなどタイムリーな話題もあります!
レクチャーのあとは、症例ベースでデング熱や麻疹、風疹、結核などについて重要なエッセンスを学びます。
患者さんに確認するべきこと、患者さんから聞いたことをもとに疾患をどう絞っていくかから、防蚊対策、ワクチン接種まで、幅広い情報を要点をおさえてお話しくださいます。
合間に症例に対して、どのように診断を進めていくかをグループで考える時間が設けられているため、飽きることなく勉強できます。
さらに、現在進行系で感染が拡大している新型コロナウイルスについても教えていただきます。
最前線で事態の収拾に当たっておられる忽那先生に正確な情報を伝えていただけるなんて、貴重な経験すぎて感動が止まりません!
海外渡航歴の聴取って大事なんだなぁ、と身にしみて実感しました。
今度は「血液培養とグラム染色マスターになろう」です。
血液培養界のゆるキャラ(?!)として「にせっとモン」がたびたび登場します。
血液培養をとる状況やタイミング、正しいとり方、陽性の解釈の方法など、知っておくべき情報を噛み砕いてご説明いただきます。
菌によって、コンタミしやすい/しにくいに差があるなんてオドロキです。
そして、グラム染色に移ります。
みかたのポイントや、ピットフォール、あまりよくない検体の場合の対処法、上手な痰のとり方、痰がとれないときの忽那案など、盛りだくさんの内容です。
簡便で迅速(慣れれば5分!)なグラム染色をもっと活用していかなくては、と決意をあらたにしました!
最後は「病院内での発熱患者へのアプローチ」です。
病院内=入院中の患者さんになるので、入院の契機になった疾患名、入院期間、ADL、入院中に行われた治療といった確認するべき項目や、病院内の発熱の原因・原因微生物、抗菌薬の選び方、診察などについて学びます。
薬剤熱は常に考える、市中感染と医療関連感染では原因微生物が異なるなど、病院内の発熱ならではの知識が満載です。
”とりあえず”この抗菌薬を……と使ってみて、「当たってくれ!」とただ願うだけの抗菌薬ギャンブルをしてはいけない……肝に銘じておきます……。
ご講演にもご執筆にも、絶対的な定評のある忽那先生。
ユーモアを交えたお話に笑いが巻き起こり、必要事項を厳選したレクチャーに引き込まれ、学びありまくりの非っ常に有意義な1日でした。
そして、DU処方、ダメ、ゼッタイと強く心に誓いました。
だいたいウンコ……蠱惑的な響きですよね?!
そんなあなた! スクーリングへのご参加、お待ちしております!!
【開催日】
2020年2月1日
【テーマ】
感染症
【講師】
忽那賢志 先生
(国立国際医療研究センター)
【研修目標】
・微生物検査(グラム染色、血液培養など)の有用性を理解し、具体的に活かすことができる
・empiric therapyとして適切な抗菌薬を選択し、感受性検査結果に基づいたde-escalationを行うことができる、また抗微生物薬の使いどころや使うべきでない状況を判断できる
・非専門医による日常外来において、頻度の高い感染症に対して病歴聴取・身体診察を行い、適切なマネジメントを行うことができる