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​現場リポート:2023年6月18日

今回のレクチャーは田口詩路麻先生による「皮膚科」疾患についてでした。総合医にとって皮膚科疾患は避けられない領域です。外用薬の使い方、湿疹、アトピー性皮膚炎、帯状疱疹、蕁麻疹、薬疹、褥瘡など、病棟総合医をやっていても、外来診療や在宅を行っていても出会うcommon diseaseを中心に講義をしていただきました。

【外用薬の使い方】
 最初のレクチャーは、外用薬の基本から入りました。今まで外用薬を処方したことはあっても、正しい塗り方(範囲、量、回数)に関して皮膚科の先生に聞く機会はなかったためとても貴重な機会でした。内容は、「1FTUは軟膏を塗布する際の基準となる単位ですが、このチューブ1本には何FTU分入っているため、この患者さんには次回外来までに○本必要」「患者さんに軟膏を塗布する際の注意点」「外来で塗布した際の加算について」「ステロイド外用薬の副作用」など、どの内容もとても実践的です。患者さんに塗布する際の注意点は、先生が実際に動画で再現していただいたためとても分かりやすいものでした。処方している外用薬がなかなか効かないとき、まずは塗り方が正しいかきちんと確認し正しく指導する癖をつけようと思いました。このレクチャーのおかげで、今後は外用薬の処方をより自信を持って処方できると思います。

【アトピー性皮膚炎】
 私はまだアトピー性皮膚炎を自身で診療した経験はありませんが、小児の外来診療を行っている先生にとっては、相談されることの多い疾患なのではないでしょうか。最初の寛解導入療法としてはステロイド外用薬ですが、その次の一手や寛解導入療法後の治療法についてレクチャーをいただきました。またプライマリ・ケア医として必要な専門家への紹介も大事な役割ですが、皮膚科専門医に相談するべきタイミングや、眼科への紹介について(重要な合併症として白内障や網膜剥離があるため)などもレクチャーをいただきました。

【蕁麻疹】
 蕁麻疹は病院での救急外来や、診療所での外来、往診で出会う頻度の高い皮膚疾患の一つでしょう。主にレクチャーいただいたのは特発性蕁麻疹の治療についてですが、実際に処方するときにどの抗ヒスタミン薬を出すのか、使い分けはどうするのか等、普段の診療で疑問に思うであろうことを中心に講義いただきました。また、蕁麻疹に外用薬は不要であること等、勉強になることがとても多かったです。

【帯状疱疹】
これもまた、外来でよく遭遇する疾患の一つではないでしょうか。診断のプロセスや治療開始時に注意すること、入院適応や専門医診察が必要となる特徴的な顔の皮疹、予防ワクチンなどプライマリ・ケア医が知っておくべき内容がわかりやすくまとめられていてとても勉強になりました。

【真菌感染症】
真菌感染症を疑った場合はまずは患部の皮膚を採取して検鏡を行うこと、真菌が観察できなかった場合に安易に抗真菌薬を処方せず、まずは症療法を開始すること、真菌感染症以外の皮疹と迷った場合の対応など実際の臨床現場での対応方法を学ぶことができました。

【その他よく遭遇する疾患】
蜂窩織炎や薬疹をはじめとする中毒疹、褥瘡についての講義でした。蜂窩織炎では診断に用いやすいスコアについて教えていただきました。薬疹をはじめとする中毒疹では、疑う被疑薬の種類や投与のタイミング、診断アルゴリズムについて解説いただきました。高齢者の診療をしていると必ず遭遇する褥瘡に関しては、病期ごとの処置や外用薬の使い分けについて講義いただきました。情報は盛りだくさんでしたが、とても分かりやすく解説していただき今後の診療にすぐに活用できる内容になっていました。

最後に、1日の講座でかなりボリュームのある内容でしたが、日常の診療に役立つポイントが凝縮されていてすごく充実した1日になりました。また、Zoomのチャットの質問対応もしていただけたので、実際に現場で働いている先生方のリアルな疑問に対する答えもうかがうことができとても勉強になりました。多くの方に受講をお勧めしたいです。

【開催日】
2023年6月18日(日)

【テーマ】

診療実践コース:皮膚科

【講師】

田口 詩路麻
(水戸協同病院皮膚科)

【研修目標】

一般外来の現場で、皮膚救急疾患に対して適切な初期対応を行うことができる
・非専門医による日常外来において、頻度の高い皮疹・皮膚疾患に対して病歴聴取・皮疹記載・検査を行い、適切なマネジメントを行うことができる
・ステロイド軟膏を中心とする外用薬の使い方の基本を学び、積極的に処方できるようにする
・病棟で日常的に遭遇・相談される皮膚疾患に対して、とくに褥瘡処置などの基本を習得する

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