top of page

​現場リポート:2023年2月23日

「仕事の教え方」がテーマでした。
日頃、別な人に種々のことを教えていると思いますが、うまく、伝えられているか心配になることありませんか。今回の講座では、伝えることは実は難しいということを認識した上で、しっかりと伝えるため方法を教える技能として、実際の趣味レーションを通して学ぶことができました。まず、山口和人先生の教えることはどういうことなのかの解説からスタートです。平易な言葉で、動画の視聴も交えての大変解り易い説明がありました。
しっかり絞められ簡単に解ける便利な結び方である「もやい結び」を、初心者に教えることを例として、私たちが普段やっている 「言って聞かせる」、「やってみせる」などの方法で具体的に教える場面が示されました。そして、それでは、うまく、伝えることができないことを参加者は実感しました。
 その上で教えることをうまく行うには、「習う準備をさせる」、「作業を説明してやってみせる」、「やらせてみる」、「教えたあとをみる」という教える過程を4段階にわけて考えることが重要であると提示されましたが、実際にはどうしていいか判らないですね。ここからが、この講座の真骨頂でした。
 事前の準備として「仕事の教え方」カードを準備することで、ものが揃っていない、情報の与え過ぎ、大事な点を後から追加するなどの教える際の多くの問題点がなくせます。その中で特に重要なのが「作業分解シート」です。習う人が一度に覚える情報には限度があり、教える内容を教える側が頭を整理して手順をまとめるためのツールです。シートには、教える作業の内容を時間順に分解した主なステップを記載します。そして、各々について成否・安全・やりやすくなどに関するキーポイントとその理由も記載していきます。
「作業分解シート」の作成は文章にすれば一見簡単のようですが、実際に行おうとしても細かな手順などがわからずうまくいかないのではないでしょうか。そこで、先ほどの「もやい結び」を用いて、具体的に作業分解し、キーポイントとキーポイントの理由をひとつずつ作っていく過程が提示され、作り上げたシートを用いて、実際に教える場面も示されました。また、「作業分解シート」だけでなく、「仕事の教え方」カードの中の「訓練予定表」を作成するためのこつも提示されました。

 


このような具体的な説明がされた後で、参加者が現場で具体的に教えている内容について、この方法に各自が落とし込むことをしました。色々な職種の方が参加されていますので、職種毎に教えていく内容は異なり、静脈確保、検体採取などそれぞれよく知っていることについて、「作業分解シート」を作り、作業過程をイメージし、問題点を把握し、実際につけていくことができました。さらに、1組5人程度で、作成したものを互いに提示しながら、意見を述べ合うという他者からのフィードバックが行なわれました。また、「滅菌手袋の装着」、「血圧測定」などについてワーク用に作成された「作業分解シート」について問題点をグループワークで議論することで、自分の作成した「作業分解シート」の問題点についても具体的に理解することができました。
このセミナーは参加者が個々に「作業分解シート」を作成し、それを他者にプレゼンテーションをしていくことも含め、単に知識を得るだけでなく、すぐに実践できる力を身につける様々な仕掛けで構成されていて、翌日から教え方が向上します。
最後に、私たち参加者が「教える方法」を身につけるために、逆に「教えるための種々の方法」を駆使して緻密にくみ上げられた有意義なセミナーでした。きめ細かく教えてもらえて、技術を身につけることができた、といわれるよう指導者としてのパーフォーマンを上げることを考えている方、是非ご参加ください。

【開催日】
2023年2月23日(木・祝)

【テーマ】

ノンテクニカルスキルコース:TEAMS-BI

【講師】

山口 和人 先生(一般社団法人日本産業訓練協会)

【研修目標】

・正確・安全・良心的に仕事をできるように速く覚えさせるために、業務内容を言語化し、

 決まったメソッドに従った合理的な手順で教えることを学ぶ
・後進や医療チームのメンバーの日々の指導に活かすことを目指す

bottom of page