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現場リポート:2024年12月14日
今回は12/14に行われた診療実践コース「地域包括ケアシステム」のレポートをお届けいたします。
今回私がこの講義を受講したきっかけですが、私はこれまで若手の総合診療医として3次救急を持つ急性期病院から回復期病棟, 訪問診療まで様々なセッティングで働いてきましたが、全ての現場で地域の自治体や施設, 病院外の多職種と関わりがあり連携を求められる場面が多かったため、一度総合診療医として地域包括ケアについて体系的に学習したいと考えたからです。
そのような思いを抱えた中で始まった今回の講義ですが、まず地域包括ケアを語る上で欠かせない介護保険制度について教えて頂きました。講義を受けていると、思いの外知らない内容が多く、同じサービスでも介護度が高いほどかかる費用が増える点や、ケアマネージャーは要介護以上にならないとつかない点など、自分が細かい制度の部分で把握出来ていないことを痛感させられました。また介護施設についても、特養や老健などそれぞれの施設が持つ特徴を整理することが出来たため、非常に為になる内容ばかりでした。そして何より主治医意見書を作成する上で意識するべきポイントを基礎から丁寧に教えて頂けたため、若手の自分にとって非常に有意義な時間となりました。
次は、実際の入院症例を通して退院後に必要な支援についてグループディスカッションを行いましたが、他の先生方が必要と考えるサービスにも自分自身との違いがあり様々な考え方を聞くことが出来たため、非常に大きな学びとなりました。また入院側と在宅側で行う退院前カンファレンスの重要性や話すべき内容を改めて整理することが出来たことも非常に有難かったです。
その後は、どの医師にとっても欠かすことが出来ないACPの概念について基礎から教えて頂きました。医師として働いていれば誰もが聞いたことがある用語ですが、私は恥ずかしながらその意味合いをしっかり説明出来るレベルまで理解出来ていなかったため、Advance Care Planning(ACP)とAdvance Directive(AD)の違いやInformed Consent(IC)・Shared Decision Making(SDM)との関連性などについて改めて学習し直すことが出来たのは、非常に貴重な機会となりました。また急性期病院で働いていると、入院時に急変時の医療行為に関する意思決定を早急に決めざるを得ない場面を多く経験しますが、あくまで一時的な決定であり患者や家族を急かすような必要は無く、もし決まらなければ無理に結論を出さずに退院後を受け持つ医療者に引き継ぐことも大切であると仰っていたこともとても印象に残りました。
そして講義の内容は、地域での多職種連携を実践する方法へと移っていきました。講師の先生が実際に経験した事例を通して、地域特有の問題点を抽出した上で自分以外の地域の支援者と関係性を構築していく過程を体感することが出来たため、今後自分が地域へ戻った後に多職種連携を行う時のイメージを形作ることが出来ました。
そして最後に、これまでに学習した介護サービスやACP, 多職種連携の実践法の総まとめとして症例検討を行いました。症例を通して知識を再度振り返ったことで実臨床に戻った時に知識を活用出来る感覚を掴むことが出来たため、非常に有意義な時間であったと感じました。
その他成年後見制度を含めたしばしば必要となり得る社会制度についても解説して頂けたため、今後の臨床業務で退院支援や多職種連携を考える上で有用な知識を1日で網羅的に学習することが出来ました。この講義は、地域包括ケアに関してなかなか学習する機会が無いと感じている先生や、自身の地域包括ケアに関するスキルについて不安がある先生には非常に役立つ内容ばかりでおすすめです。
【開催日】
2024年12月14日(土)
【テーマ】
診療実践コース:地域包括ケア実践
【講師】
大橋 博樹(医療法人社団家族の森 多摩ファミリークリニック)
髙木 暢(医療法人社団家族の森 多摩ファミリークリニック)
【研修目標】
・地域包括ケアシステムの必要性を理解する
・各医療・福祉職種に敬意を持つ
・介護ケアプランニングを体験する
・アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の意義を理解する
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