現場リポート:2023年5月21日
今回は「問題解決能力トレーニング」というテーマで、①問題とは何か、②問題のタイプを見極める、③枠組みの使い方、④問題解決の基本ステップ、⑤総合演習という流れで進んでいきました。完全オンライン開催、合間でときどきブレイクアウトルーム(4-5人1組のグループ)に分かれ、議論していきました。
最初のテーマは「問題とは何か?」です。その問題の切り口(視点)、範囲(視野)、立場(視座)をそれぞれ変えることで、問題の見え方が変わるという説明がありました。それを実際の例題(山登りの途中で橋が壊れていた場面)でグループディスカッション。いろいろな発想がでて、より理解が深まりました。

②問題のタイプを見極める
問題のタイプには3つあります。発生型(全員がすぐにわかる問題)、設定型(人によって異なる問題)、将来型(将来的な潜在的な問題)に分けてそれぞれの対策を学びました。
また、問題はそれぞれが影響しあう状況も多く、全体を俯瞰的に観察し続けることが重要そうです。
要素を洗い出す方法を「映画をできるだけ多く出す」ワークで学びました。発想の広げ方を様々なパターンで教えてもらいました。
その後、事前に送付されていた7例の症例とその中に示された課題について、各自で検討をおこないました。後の藤谷直明先生の解説の中で明らかになりましたら、これらの7症例は認知症と診断される主要な症例の初診の頃の課題がコンパクトにまとめられたものでした。症例について課題を解きながらじっくりと健闘したことで、疾患の具体的なイメージを作ることができました。正常範囲、軽度認知障害、レビー小体型、血管性、前頭側頭葉型、若年性、そして、紹介すべき非典型例について学びました。
後半は認知症にみられる様々な課題について学びました。徐々に認知症が進行していく中で生じてくる様々な問題、運転免許、行動心理症状(BPSD:Behavioral and psychological symptoms of dementia)の中の「アパシー」、「ものとられ妄想」、「徘徊」、そして、終末期の対応として、方針の決定をどうするか、さらに、遠方の家族からの異なる方針が提示される場合、米国でカリフォルニアの娘という名前がついているそうですが、これらの一つ一つの課題について、やはり、症例提示と課題をグループワークで議論し、その後、藤谷直明先生から総論を教えていただきました。
この講座の特徴はひとつ一つの課題について、まずは提示された症例をベースして、課題を少人数でのグループワークで議論しながら課題の理解を深めていき、色々な意見や課題における問題点を認識することです。その上で解説を兼ねた講義をききます。単なる知識を得るばかりでなく、提示された症例と関連する課題を考えながらグループワークで自ら発言していくことで、イメージが構築され、考えが整理され、身についていくことを感じました。
さらに、この講座を受講して感激したのは、参加者各々からのチャットに書き込んだ様々な質問、例えば参加しながら気になったこと、実際に診療を行っている際の様々な課題、薬物療法のコツなどについて、診療経験を含め具体的な解決法などについて、一つひとつ、細やかに懇切丁寧にお答えされていたことです。さらに、藤谷先生と吉岩先生は本編終了後も、ZOOMに残られ、個別に質問を受けられている姿を拝見しながらこの分野の教育に積極的に関わられているお人柄を感じました。
最後に、認知症診療の初級者が始めてこの分野の知識を系統的学ぼうとする場合、中級者が知識を整理するとともに、診療上のコツを学び診療レベルを少しでも上げていこういとする場合など、様々なレベルの方にとって有用な講座ですので、多くの方々が参加されることを望みます。
【開催日】
2023年5月21日
【テーマ】
ノンテクコース:問題解決①
【講師】
守屋 文貴 先生(津田眼科医院)
【研修目標】
・問題を「ロジカル思考」を使って要素分解するための方法を学び、問題の基本ステップを意識して効果的な解決策を考えられるようになる